福ハ内

節分の季節になると鶴屋吉信のお菓子で「福ハ内」が発売される。
結婚してから毎年毎年買っていた。
妻が余命を宣告されたのがちょうどこの時期。
『来年の節分には夫婦で医者に豆ぶつけてやる!』と日記に書いたのも遠い過去になり、治すことができない医者でも余命はある程度正確に把握できるのが皮肉だった。

そうして節分となると豆の升を見ながらなんとも物悲しく、「福ハ内」も買わず、太巻きで方角をみることもなくなった。

『鬼は外、福は内、鬼も内!なんでもこい!怖いモンなしじゃぁ!』と笑っていた妻だったが、ふと「そんなことばかり言ってるから病気が来たんじゃないか」と今頃ボヤいてみたり(苦笑)

会社の帰りにふと福ハ内を買いたくなって吉信に寄った。
京都の本店に行ったのが懐かしい。

今は仏壇に供えてある。