猫の死に様
年老いた猫がいた。
目が不自由で、トイレにも行けず部屋の中で始末をしていた。
歯も欠けて硬いものが食べられなくなっていた。
飼主は不憫に思い、部屋の中にもトイレシーツを敷き詰め、食べ物にも気を配っていた。
それでもやはりジワリジワリと元気を失っていった。
そんなある日家人が
『おまえはそんなになっていつまで生きているつもりだい?』
と言った。
酔った拍子の本心か、それとも冗談だったのか。
その翌日猫は息を引き取った。
私にとってもその猫は格別に思いのある猫である。
それでも、不思議と何故そんなことを言ってしまったかと責める気持ちが生まれない。
むしろ『じゃぁもう行っていいんだね』と安心して行ったのではと妄想している。
自分に都合のいい解釈かも知れないが、そうであって欲しいとも思っている。
合掌