父子の会話

実家からしまじろうをとりにきて再度実家に戻るのに車で送っていった。
今まで後部シートが定位置だったが助手席に持ってきた。
後ろの席から助手席があいていることを気がつかせないためだ。

「お父さんあしたお休み?」
「そうだよ」
「なんで?」
「ほら、おかあさんのお葬式したからお金払わなくちゃいけないんだ」
「いっぱいはらうの?」
「結構多いね」
「いくら?何百円?」
「もっとだよ」
「かみのおかね?」
「そうだね」
「ぼくあんまりもっていない」
「まぁ足りなくなったら貸してくれよ」
「りょうかい!」


「おとうさん、いそがしいの?」
「うん、かなり忙しいね」
「手伝ってあげようか?」
「ありがとう。あしたはおかあさんの病院で着ていた服を捨てようと思って」
「なんで捨てるの?」
「あんまり楽しそうじゃなかったでしょ?楽しい時の服だけあればいいかなと思ってさ」
「そうか」


「おとうさん、おかあさんなんでしんじゃったの?」
「病気だったからだよ」
「なんでびょうきだとしんじゃうの?」
「がんが体の中でどんどん増えていったんだ。お薬とかいろいろやったんだけど効くのがなくてね、それで死んじゃった」
「ぜったいなおるっていったじゃない」
「そうだね、確かにそう言ったね。治したかったんだけどね、できなかったんだ」
「なんで?」
「おかあさんの血から元気になる素を出してそれを増やしてまた体に入れるってお薬をしようとしたんだけどおかあさんが病気で疲れちゃっていて元気の素が増えなかったんだ。お父さんの血をとって栄養の素を取り出してなんとかお母さんのお薬にしたかったけど間に合わなかったんだ。」
「ぼくはおかあさんがいなくなってかなしい!なきそうだよ」
「おとうさんもかなしいよ。なきそうだ。」
「なんでなんだよ、いやだよ」
「そうだね、おとうさんもいやだよ。本当にいやだよ。」

続く