不思議な話、怪談未満

妻は和室のベットで寝ていた。
南に頭を北には床の間があった。

かぎりなく危篤状態に近い状態となった時、指で床の間上方を指さす。

振り返る。床の間には父が中国にいってきたときのお土産のよくある山と河の掛け軸がかかっているだけ。
鴨居には鳳神社の熊手があるだけ。

掛け軸をはずす。
まだ指をさす。

熊手も下ろす。
まだ指をさす。

「何かが見えるんだろうな」

父が言った。