パンケーキとガンダムと(7)

さて、実家に預けられた息子は当然実家の「お兄ちゃん」である小学校2年の甥っ子のおもちゃで遊ぶ事になった。

ところがやはり不憫な甥ということで兄夫婦、特に義姉がよく面倒を見てくれた。
義姉は非常に可愛がってくれたので未だに息子は『おばちゃんにあいにいく』という。

ところが甥っ子からしてみると母と祖母を取られた形になるし、自分のおもちゃを(たとえいらないものでも)とられた形になる。

そんな中、彼の過去のおもちゃのSDガンダムのプラモデルを息子が破損させるということが起きた。
それは大人からしてみれば大した事ではないが、子供からしてみればゆゆしき問題であるのは間違いない。ましてや大人たちは全て息子を不憫がっているから甥っ子にしてみれば実に不公平な状況だ。
で、私も息子にSDガンダムを買い与えた。そうやって息子と一緒にプラモデルを作ってそれで遊んでいると私も結構楽しかった。連邦VSジオンの雰囲気をだそうと工夫している息子と一緒にいる時が幸せだった。
そうやってプラモデルが増えると、息子はそれをバラし再度組み立てるという技を覚え、ガンタンクの頭をつけたガンキャノンなどをチャレンジした。
親の画一化された頭ではなかなかできない発想ではあった。

そうしてガシャポンおよびSDガンダムを小さなリックに背負い、息子は実家にいくようになった。

土日は父親とツタヤにいってガンダム」(1st)またはガンダム0083」、「MS08小隊」を借り、午後ゆっくり病院にいき、母親が回復している様子を見、母親と話しをして病院の近くのイトーヨカードで買い物した後、SDガンダムを一つ買う。
夜は父と連邦VSジオンをじっくりやるという生活だった。

それでも3歳の子供にはストレスだったに違いない
息子は熱を出した。会社を休み小児科にいき薬をもらう。荒い息の息子を寝かせ、水枕をつくり小さな額にヒエピタを貼る。
猫も心配なのだろう、寝ている息子の周りをぐるぐるまわっている。
ミミッピで体温をはかるが一向に熱がさがらない。不安になる。とうとう仕方がないので解熱用の座薬を入れる。
息子は気持ちが悪いし、痛かったのだろう。「いやだよう〜」と泣きながら力なく抗う。
この時期息子の涙が私にとって一番つらいことだった。
こっちもなきそうになりながら、懸命にさとし座薬を入れる。
熱がさがった息子は寝息をたてて眠りについた。が、私は朝まで起きているのか寝ているのかよくわからない状態だった。
翌日も会社を休んで様子を見、そしてその次の日会社に出た。朝から熱もなく、元気そうだった。
しかし、また熱がでた。義姉が医者につれていってくれて薬ももらってきてくれた。
会社を早退し、家に連れて帰る。荒い息の息子にまた水枕をつくる。
ヒエピタだと肌が荒れてしまうので今度はハンドタオルをぬらして頭にあてる。やっぱり熱はひかない。またしても座薬だ。当然のことながら息子は手ひどく拒否する。困り果てた私は息子のおもちゃ箱の中から百式」「ガンキャノン」「グフカスタムを選び息子の枕もと上、左右に配置して『援軍だ!これでカゼをやっつけるぞ!でもとりあえずお尻にお薬をいれよう。そうすればカゼ菌が体の中から外にでようとするからそこを狙い撃ちだ!!』
父の支離滅裂だが妙に勢いのある言葉に息子は納得したのか諦めたのか座薬を入れた。そうして以降妻が退院するまで熱は出さなかった。