息子がさっき泣きながら起きた
悪い夢でも見たのだろうか。いや、寝ていなくたって既に悪い夢の真っ最中だしな。
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時間の限られた妻を家で看るにあたり相当悩んだ。
末期癌患者の痛みや苦しみを息子に見せるか・・である。
母親が死に行く過程を目の当たりにして息子にどういう影響があるか真剣に考えた。
在宅専門の医師は言った。
「おかあさんが病院に行ったと思ったら何も言わなくなって帰ってくる。これは子供にとって非常に残酷だ。死んだということがわからない。家にいてだんだん反応しなくなってそしてものを言わなくなる。子供にだってわかるんです。立ち直りも早いですよ。」
別の医師は言った。
「最後まで看取ることは反対だ。息子さんを犠牲にするよ。」
妻の最後の願いをかなえることは可能だ。
だがその為に息子がどうなってもよいというわけではない。
どうすべきか。
なにせ時間が決まっているからながなが考えている余裕がない。
結局、妻の意見を尊重し、息子にも母親のことを少しでも覚えている可能性をとった。
結果妻はいたって満足していったと思う。
息子が春休みで遊んでいるのを眺めながら、本を読んでいた。
息子は少し会話し、またなにやら遊び、また母親のところでなにやら笑っていた。
息子も満足したのではないかと思いたい。
息子は母親が死に、二度と帰ってこないことを理解していると思う。
私の判断は正しかったのだろうか、間違っていたのだろうか。
答えはもうしばらくすると息子が出してくれるだろう。
どんな形であれ。
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隣の息子は毎日母親と口げんかして大声で「ママなんか死んじゃえ!」と叫ぶ。
頼むから替わってくれ
金だしてもいいぞ