金に恨みが御座候

一戸建てを建てて、外車にのって、幼稚園では補助申請用紙が一枚しかもらえないと「お金持ちですね」などと言われる。
子供のでっかいおもちゃをしばしば買っていて、子供の服と靴も結構かっているので余計そう見えるのかもしれない。

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妻が子供の時、親父殿の仕事が絶好調でなかなか景気が良かったらしい。
良いときもあれば悪いときもあるのが人生で、その後かなり金で苦労したらしい。
よく「金がなくとも心配せんでええで。貧乏には慣れとるからなぁ(大笑)」と笑い飛ばしていた。
また「貧乏はな、心が荒むねん。衣食住足りて礼節をしるんよなあ」と笑った。

短大にいくのに奨学金をもらって、返済していたが結婚して金利がバカにならないから結婚祝いを運用して返したっけなぁ(笑)

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妻はいろいろ貯蓄(倹約ではない)や投資をしながら損もすれば利益も得て実に楽しそうに株式ニュースやWBSのトレたまを見ていたものだ。
そうやって住宅ローンの繰上げ返済を目指して運用、貯蓄をしていた。
子供が生まれてからは教育資金を考えて少しずつ貯めていた。

無理をすればもっと貯められただろうが、そこまですることなく案外たのしく生きていた。

が、病気→手術となり子供の幼稚園入園と重なった。体力は夏場はある程度回復したものの再発が発覚した。
抗がん剤治療をするため体力がぐんぐん衰えた。

生活をカバーするためにいろいろなものを購入した。健康食品はあきれるほど高かった。
もの、人、時間。金で済むものは済ませた。そうやって気がつくともう現預金は枯渇し、証券屋に最後の切り札である株、公社債投信、投資信託しか残らず、その評価額は200万円を切っていた。
抗がん剤は効かず、ジリジリと腫瘍マーカーが上昇するなか最後の希望は免疫療法しか残っていなかった。だが1クール6回で150万以上だった。保険は効かず自費のみ。
1クールで効果があっても2クール目ができない。まして1クールで効果がない場合他の治療にかける費用が無くなってしまう。
悩んで悩みぬいていると・・・容態が急激に悪化。
皮肉なことに免疫治療が受けられるようになったのは余命告知をされて、リビングニーズ特約で金をもらってからだった。医者も告知後はあれがしたいこれがしたいといっても何も反対はしなくなった。

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「金で買えないものはない」と妻はよく言っていた。
私は「金で買えないものはない。但し少数の例外を除く」と思っている。
「甲斐性」とはこういうときになんとかできることを言うものと思う。